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借金を理由に離婚することはできる?さまざまなポイントを解説します

皆さんは配偶者が借金を抱えていることが発覚したとき、離婚を検討しますか?

どうしようもない身勝手な理由で借金を作った場合、そんな人と生活できないと思って離婚を検討することが多いかもしれませんが、借金を理由に離婚できるのか気になる人も多いのではないでしょうか。

それでは、借金を理由に離婚することはできるのかご説明しましょう。

借金を理由に離婚することはできる?

結論から言えば、借金を理由に離婚することはできます。

ただし、借金が理由であっても離婚するには条件を満たす必要性があります。

それでは、借金を理由に離婚する条件についてご説明しましょう。

相手の同意が必要

借金を理由に配偶者と離婚する場合、原則として相手の同意を得なければなりません。

これは協議離婚という一般的な離婚の方法によって定められており、どんな理由があったとしても借金をした配偶者が離婚に同意さえすればスムーズに離婚することができます。

同意がなくても法定離婚事由が必要

相手の同意がなければ離婚できないのかと思う人も多いかもしれませんが、法的離婚事由があれば同意がなくても離婚することができます。

調停を行っても離婚を拒否する場合は離婚訴訟を起こすことになりますが、離婚訴訟を起こす場合は以下の法定離婚事由に当てはまるかどうかが焦点となります。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
  • 婚姻を継続しがたい重大な事由

配偶者が借金をしたという理由だけで離婚することはできないため、法定離婚事由に当てはまっているか確認しましょう。

離婚できるかどうかは方法によって変わる

借金を理由に離婚できるかどうかは方法によって決まります。

それでは、借金を理由に離婚できる方法についてご説明しましょう。

協議離婚

協議離婚とは最も簡単に借金を理由に離婚できる方法です。

配偶者との話し合いの場を設けることにより、双方が離婚に合意するのが目的です。

配偶者が離婚に合意さえすれば、離婚届を市区町村の役場に提出して受理されれば離婚できます。

調停離婚

協議離婚で配偶者が離婚に合意しなかった場合、調停離婚が行われます。

調停離婚は家庭裁判所で夫婦が話し合いを行いますが、間に裁判官や調停委員などが入るのが特徴です。

借金を理由に離婚する場合、夫と妻が出した条件のすり合わせを行い、双方の条件の折り合いがつけば調停が成立し、離婚も成立します。

離婚裁判

調停離婚でも離婚が成立しなかった場合、離婚訴訟によって行われるのが離婚裁判です。

離婚裁判が行われる場合、法定離婚事由以外による理由での離婚が難しくなります。

したがって、いかに法定離婚事由に該当するかどうかが最大の焦点となります。

借金で離婚する際に必要な証拠とは?

借金で離婚する際に必要な証拠は、以下の通りです。

  • 通帳のコピー
  • 配偶者の給与明細
  • クレジットカードの利用明細
  • 家計簿

以上のような収支が分かる記録を可能な限り集めることが重要です。

証拠が多ければ多いほど借金があった事実を証明することができますし、法定離婚事由に当てはまるものかどうかも判断しやすくなります。

なお、相手が離婚に同意するのであれば、信用情報機関に信用情報の開示請求を行う方法もあります。

夫または妻の借金の返済義務はどうなる?

配偶者が借金をしていることが判明した場合、離婚するにあたって返済義務はどうなるのか気になる人も多いのではないでしょうか。

それでは、配偶者が負った借金の返済義務についてご説明しましょう。

借金は個人の責任で返済するもの

結論から言えば、夫婦生活に関係がない借金の返済義務はありません。

借金は基本的に個人の責任で返済するものなので、借金をした配偶者のみに返済義務があります。

夫婦の生活に必要な借金の場合は夫婦に返済義務がある

借金をした理由が夫婦の生活に必要なものだった場合は、夫婦両方に返済義務があります。

夫婦生活に必要な借金の返済義務のことを日常家事債務と呼び、食費や水道光熱費、家具家電の購入費、医療費、養育費などが該当します。

借金で離婚した夫婦の具体例

借金で離婚した夫婦の具体例についてご紹介しましょう。

・結婚後に配偶者が借金を抱えていたことが分かり、さらにギャンブルによってできた借金であることが判明して離婚できた事例

結婚する前に配偶者が借金をしていたことが理由で離婚したい場合、婚姻を継続しがたい重大な事由に当てはまるかどうかが最大の焦点になります。もしも借金の理由が奨学金の返済や失業等の理由であれば離婚が求められる可能性は低いですが、今回の事例はギャンブルによるものなので、配偶者の都合による借金に該当します。

したがって、婚姻を継続しがたい事由に当てはまるため、離婚が成立する可能性が高いでしょう。

・結婚後に夫がギャンブルで借金を作り、完済してもまた借金を作るので裁判で離婚した事例

今回の場合、夫の度重なるギャンブルが原因で結婚生活の存続に関わる重要な問題となったため、最終的に離婚したケースです。

ギャンブルがやめられず、繰り返し借金を作っては生活を困窮させる事態を作り出しているため、妻は弁護士に依頼して裁判を起こすことにしました。

夫は妻に借金を負わせようと調停に出頭しましたが、弁護士が離婚訴訟を申し立てることによって調停を不成立にしました。

その後、弁護士の迅速な訴訟提起により、夫がすべての借金を負うという内容で離婚が成立しました。

まとめ

配偶者が借金をしたことで夫婦生活が脅かされているのであれば、離婚したいと思うのも無理はありません。

配偶者の合意が得られれば借金を理由に離婚することができますが、なかなか合意してくれない場合は弁護士に依頼する必要性があるでしょう。

何度注意しても借金を作る配偶者に悩んでいるなら、弁護士に相談して離婚できるように行動するのがおすすめです。

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