借金と離婚

借金で離婚を考えた時に事前リサーチしておくべきこと。

借金が原因で「離婚」を考える人は多いです。

相手の浪費やギャンブルが原因での離婚は離婚理由の27.5%を占めます。
(法務省「協議離婚に関する実態調査結果の概要」)

相手に借金があり離婚する場合は、必ず、その返済について事前リサーチをしておくことが重要です。なぜなら、相手の借金が自分にもふりかかり、離婚後の生活が苦しくなり困るケースが多々あるからです。

この記事では、借金で離婚を考える場合に、おさえておくべき具体的な内容を書きます。

読み終えていただければ、借金が原因で離婚する場合の重要ポイントがわかり、何から準備すれば良いか、どんな専門家に相談すれば良いかが整理できるかと思います。

借金で離婚を考える場合は事前リサーチが必須

旦那の借金癖や、相手の重たい借金返済など、自分が原因でない借金が重くのしかかり、

「もう限界...」

「もう離婚をしたい...」

と思ったことはないでしょうか?

しかしいくら限界がきていても、離婚するという判断をすぐにしてしまわないことが大切です。事前に借金返済や財産分与について事前にリサーチしておく必要があります。

なぜなら、離婚後は自分一人の収入で生活しなくてはならない上に、相手の借金返済が自分にふりかかってくるとなると生活が一層大変になるからです。

さらに、お子様がいる場合は一人で育児と仕事をこなさなければなりません。

離婚後の借金をできるだけ軽くし、なおかつ財産分与を適正に行い、養育費や慰謝料をしっかりもらい、余裕をもって新しい生活をスタートできる状態にしたいものです。

借金した理由やパートナーとの関係性などによって、離婚後のお金の事情は大きく変わってきます。できるだけあなたに有利になるようにイメージができた上で判断できるよう、下記をみていきましょう。

相手の借金が理由で離婚できるのか?

そもそも、相手の借金を理由に離婚できるのか?

まずはそこからスタートします。

実は、相手に借金があるだけでは離婚理由にならないケースがあります。

1.相手から離婚の同意が得られた場合

双方に離婚の合意ができた場合は話が早く、離婚届を市町村役場に提出することで成立します。

こちらはスムーズに進むケースで、「協議離婚」といいます。

2.相手に離婚の同意が得られない場合

もし、相手から離婚の同意を得るのが難しい場合は、第三者を交えての話し合いになり離婚のハードルが高くなります。

協議離婚ができない場合の次のステップは、家庭裁判所で調停委員や裁判官に間に入ってもらう「調停離婚」

それでも折り合いがつかなければ、「離婚裁判」になります。

離婚裁判の場合、民法第770条で定められた事由で離婚できるかどうかを判断されます。

民法第770条で定められた5つの事由

・不貞を行った
・悪意の遺棄(正当な理由なく夫婦間の共同生活の維持を拒否した)
・3年以上の生死不明(失踪)
・回復しがたい強度の精神病で回復の見込みがない
・その他婚姻を継続しがたい重大な事由

相手の借金で離婚したい場合は、その他婚姻を継続しがたい重大な事由、や、悪意の遺棄、を立証していく必要があります。

例えば、「借金癖がある」「浪費がすごく生活が成り立たない」「生活費を入れない」「不倫相手にお金をつぎ込んでいる」「借金とDVがひどい」などがあれば、離婚が認められることもあります。

現在の相手との状況で当てはまるものがあれば、借金癖の履歴や、生活費を入れていない証拠の通帳、借用書、督促状、クレジットカード明細、メモやチャットのやり取りなど、立証できそうな証拠を残しておくと良いかもしれません。

借金での離婚は難易度は低くないので、もし離婚できる事由に当てはまるか気になる場合は法律の専門家に相談してみましょう。

離婚した後の借金の返済はどうなる?

では、離婚が決まったとして、相手の借金については「なるべく相手だけで返済してほしい」と思うのが自然ですよね。

離婚後の借金返済はあくまで「結婚中の借金」をどう分けるか、が論点になります。結婚前と離婚後にした借金は相手には関係ありません

それでは、自分に振りかかってこない借金①と、自分も返済しなくてはいけない借金②を整理してみました。

①本人だけで返済しなくてはいけない借金(相手には振りかからない)
・ギャンブルによる借金
・浪費による借金
・結婚前、離婚後の借金

②二人で分け合う借金
・生活のための借金(家賃・スマートフォン代・水道光熱費など)
・家族の医療費や教育費の借金(病院代、教育ローン)
・連帯保証人や連帯債務者になっている借入など(連帯保証人になった住宅ローンなど)

要するに、生活していく中でかかった借金は返済しなければならず、相手の明らかな無駄遣いは返済しなくても良いというざっくりとした解釈ができます。

おおよそ納得のいく分け方のように思われますが、もし、①②のどちらに該当するかわからない場合は、専門家に相談してみましょう。

その他、借金理由の離婚で確認しておくこと

離婚後のお金の決めごとで、特に気になるのは養育費と慰謝料ではないでしょうか?

養育費

「生活保持義務」という義務があるので、相手に借金があろうがなかろうが養育費を支払う義務は変わりません

これは、たとえ相手が多額の借金をしていても、自己破産をしたとしても、相手に養育費の支払い義務がなくなることはなく、全額請求できます。

ただ、相手に支払い能力がなくどうしようもない場合(お金がないなど)には、減額交渉や支払い遅延になるケースも多々あります。その際には、直ちに専門家に相談しましょう。

慰謝料

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した場合には、慰謝料を請求できます。

借金のせいで夫婦生活が破綻した、病気になってしまった、借金と暴力により苦しめられた、などで請求できるケースがありますので、証拠をできる限り残しておきましょう。

こちらは相手の支払い能力が影響してくるので、法律の専門家によりしっかりかためておく必要があります。

まとめ

上記を踏まえて、借金で離婚を考える際のステップを整理してみました。

ポイント

①相手の浪費や生活を苦しめる借金癖などの証拠を集める

②相手の借金が離婚の事由に値するのか専門家に確認

③財産分与、養育費、慰謝料について専門家に確認

④離婚後の生活の収支をシミュレーションする

⑤離婚すべきかどうかを考える

夫婦でもう一度やり直すのがベストの場合や、離婚した方が幸せなケースなど、夫婦の形はさまざまです。どちらになっても生活していけるイメージを持った上で判断することが必要ですね。

相談するのに適した専門家は、法テラスや、このサイトで紹介している法律事務所など多々窓口があります。特に、下記の3事務所は対応が速く親身になって相談してくれると評判ですので、一度無料相談してみてください。

借金返済のシミュレーターなどに相手のおおよその借金額を入れることで、より正確な無料相談ができます。

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